研究概要

分子の結合形態を制御することにより発現する分子由来の新しい磁気機能の探索と物質の微視的性質を評価する次世代技術の開拓を目的として,電子磁気共鳴分光学を基盤とする新しい方法論・解析手法の開発,新規分子スピン系のcw-及びパルス電子スピン共鳴による研究を行っています.特に,分子スピン系の電子状態を評価・同定する方法として二次元電子スピンニューテーション分光法などの直接的に電子スピンを評価する手法の開発,多次元相関分光法や多重共鳴分光法の分子スピン系への応用,スペクトルシミュレーション法の開発を行ってきました.現在、パルス電子多重磁気共鳴(ENDOR/ELDORなど)技術を応用した分子スピン量子コンピュータの開発と量子演算・量子情報通信の実現を目指した研究を展開しています.新しい量子情報スピン科学の開拓をはじめとして,有機二次電池の物性評価のための技術開発など,新規な機能性材料の物性評価・分子スピン制御を通じて,新しい分子スピン化学の開拓を目指します.

電池における充放電機構の分子レベルでの解明

有機物を活物質に用いた二次電池の開発を目的とし,電池評価に特化した新しいESR測定技術を開発するとともに、二次電池における充放電機構の分子レベルでの解明を目指している。

パルス磁気共鳴分光の量子情報科学への応用 ― 分子スピン量子コンピュータの開発

開殻系分子の電子スピンと核スピンを量子情報の担い手として活用し,パルス磁気共鳴法による量子演算の実験的検証を行い,分子スピン量子コンピュータの開発研究を進めている.マイクロ波及びラジオ波パルスを用いるパルス電子多重共鳴(ENDOR/ELDOR)を用いて電子-核スピン系や多電子スピン系を制御することにより,量子絡み合い状態の生成と量子情報制御を行っている.

弱交換相互作用多スピン系などの分子スピン系の電子・分子構造の解明

高スピン化合物・の基底状態及び励起状態の電子構造の研究を, 実験と理論の両面から行っている.生体関連化学のみならず,物質科学・材料科学の分野においても重要な物質系として注目されているフタロシアニン錯体に有機安定ラジカルを挿入した多電子スピン系の電子構造/分子構造の研究を電子スピン共鳴/多重共鳴法を適用するとともに,量子化学計算を併用して物性評価を行った.

新しい磁気共鳴分光法の開発と応用

パルス磁気共鳴法を用いた二次元電子スピンニューテーション法を応用して,高スピン有機分子系・異種スピンが混在する系や複雑なスピン系の電子状態の解明を行っている.また,通常のESR法に加え,マイクロ波パラメトリック励起ESR法や電子-核多重共鳴法など最先端のESR分光技術を複雑な分子スピンシステムに適用し,電子構造や物性機能の解明など最新の磁気共鳴法の材料科学への応用研究を進めている。

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